レストランの照明計画:客席・カウンター・営業シーン

このガイドの数値は原資料の参考案として扱い、実際の店舗で検証します。例えば東京でテーブルを移動できる飲食店を計画するなら、方向調整できるアクセント照明とカウンターの独立調光を検討します。同じ客席でもランチ・落ち着いた夕食・貸切会食では使い方が異なります。そこで最初に営業シーンを定め、その後でスポットライトの台数と配置を決めます。

飲食店のゾーンごとに器具を選ぶ

メイン客席のテーブルと半個室

  • 案1[配置変更に対応]: マグネット式レール照明
  • 家具の配置を変えても、天井を再度開口せずに器具を移動できます。参考仕様は7‑12 W・2700‑3000K・Ra≥95のグレア配慮型です。テーブル当たり1‑2台を出発点に検討します。
  • 案2[固定配置]:光源を奥に配置したグレア配慮型埋込ダウンライト、
  • 7‑10 Wの 可動形の設計です。テーブル配置を変えない場所向けの案です。

間接照明のベースには、コーブ内に設置する24 V LEDテープを検討できます。明暗差を和らげる役割を与え、テーブルや選んだ装飾への注目はアクセント光に任せます。

客席に均一なダウンライト格子を並べる前に、テーブル・素材・ペンダントの高さとの関係を試します。格子配置が別の作業には有用でも、空間のすべてが同じ強さで目立つなら、そのまま採用しません。

個室の食事空間

  • メインテーブル照明:グレア配慮型スポットライト レール式 または低い位置に吊るす8‑12 Wのペンダント。
  • 雰囲気づくり:壁付け灯・コーブのLEDテープ・美術品用スポット。
  • 独立した調光回路に、会合用と暗めの夕食用の二つのシーンを設定します。

カウンターエリア

  • 客席側:2700‑3000Kの薄型ラインペンダントで、ボトルの見せ方を整えます。
  • 作業側:3000‑3500Kのレールスポットを使い、飲み物の準備と提供に必要な照度を確保します。
  • ワイン陳列: 小型埋込スポット または低電圧LEDテープでボトルを際立たせます。

通路とトイレ

  • 通路:4‑6 Wの省電力ダウンライト グレアに配慮した光学部、3000K・70‑100 lx。ここでは動線を示す通常照明の参考値です。
  • 洗面鏡:Ra≥90・2700‑3000Kを参考に肌色を確認し、天井だけから照らした場合の強い影を抑えます。

オープンキッチン

作業場所では原資料の参考値3500‑4000K・Ra≥80・300‑500 lxを現場と照合します。見積書のIP44を耐油脂性能の証拠にはしません。オープンキッチンでは使用環境と予定する清掃方法も選定条件に含めます。

見やすさを保ちながら雰囲気をつくる

着席位置から食器・グラス・顔を確認します。見栄えのよい器具でも、その位置から光源が不快に見える場合があります。客席の背景をテーブルより暗くする場合も、動線は分かりやすく保ちます。全般照明・アクセント・装飾照明を分け、視野に強い光源を入れずに料理と会話を楽しめる配分を目指します。

(1). 色温度

  • 高級飲食店を想定した参考案では、 色温度 は2700-3000Kです。赤身肉やワインに合わせて暖かな雰囲気を求める場合は2700Kを候補にします。
  • カジュアルな飲食店について、原資料は3000-3200Kを提案しています。
  • 客席を3500Kまでとする考え方は、この案の雰囲気づくりの基準です。日本の飲食店に一律に適用される禁止事項ではありません。厨房の調理場所は別に検討します。
  • 記載の許容差は±200Kです。同じ客席内で隣接する器具の色味が不ぞろいにならないよう確認してください。

(2). 演色評価数 (CRI)

  • 食卓の照明: Ra≥90、できればRa≥95・R9≥50。
  • R9は飽和した赤色の再現を示します。低い値では、肉や赤ワインが目視でも写真でもくすんで見える場合があります。

ゾーン別照度:測定面0.75 mを確認

エリアテーブルの目標アクセント照度背景照度
メイン客席のテーブル200‑300 lx50‑100 lx
半個室・個室180‑250 lx30‑80 lx
カウンターの客席側100‑150 lx60‑100 lx
カウンター作業面300‑400 lx—

(4). グレア制御と調光

  • 設計参考値はUGR ≤19です。黒いリフレクター・奥に配置した光源・>30°の遮光角を検討し、着席位置からLEDチップを直接見ない配置を目指します。
  • 想定する調光方式: Triac / 0‑10V / DALI。昼食は明るめ、夕食は暗めのシーンを設定し、個室は独立して調光します。調光でちらつきや目立つ色変化が生じないか確認してください。

(5). テーブルごとの配光角

  • 2‑4人用の丸テーブル:24‑30°。天井が高い場合は15‑24°の 配光角 を検討します。対象となる例は天井高>3.2 mです。
  • 長い食卓:30‑36°
  • 壁面の絵画を照らす装飾照明:24°ウォールウォッシャースポット
  • 通路の雰囲気照明:40‑60°ダウンライト

毎日同じシーンを再現でき、スタッフがその都度調整に迷わない状態を目指します。施工担当者には承認済みの型番・配光・回路・調光機能を渡します。購入は実際の食器と仕上げでテーブルを試作してから決めます。座席と入口から確認し、ランチ・ディナー・清掃時を試します。

テーブルを動かしても料理へのアクセントを保つ

客席配置を変更する店では、よく使う配置ごとに図面を用意します。スポットを向け直したときに別の客の顔を照らさないか、スタッフがシーンを判別できるか確認します。開店日の配置が会食時も同じとは限らないため、テーブルの移動と連結も試します。

同じ視野に入る作業カウンターと客席

客席に開かれたカウンターでは、調理・提供・会計に必要な光と、座った客が感じるシーンを分けます。ボトル・グラス・磨かれた面の反射を両側から確認します。これにより、雰囲気を暗くした際にスタッフの作業光まで誤って減らすことを避けられます。

参考資料として、 スペインIDAEの建築照明省エネに関する考え方 を利用し、快適性と消費電力を併せて検討します。これは海外の参考資料であり、日本の法的要件を代替するものではありません。

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